うわーってなった時の処方箋

苛立ちと憂うつと退屈

夜間病院

いまさら書くけれど

 

去年の12月の深夜、母親が交通事故を起こした。

幸い相手のいない自損事故だったのだが、軽い怪我をしたため、検査も兼ねて近くの救急外来のある大きめの病院に運ばれることになった。

 

その時俺はちょうど家で酒を飲みながらお菓子を食べていた。

いい具合に酔っ払ってきたし歯を磨いて寝るかと思っていたら、母親から電話がかかってきた。

電話に出ると、事故を起こしたから来てくれと言われた。

自宅のすぐ近くでぶつけたらしく、急いで外に出てみると町が赤く点滅していた。

 

赤い顔のまま救急車に乗り、同伴者が必要とのことでそのまま一緒に病院まで向かった。

首を器具(調べたら頸椎カラーというらしい)で固定されたままストレッチャーに横になっている母親を見て、この時は症状がどの程度のものなのか分からなかったので、内心めちゃくちゃ心配だった。

結果から言えばたいしたことはなかったのだけど。

救急車の中で、何故人は最悪の事態にならないと本気になれないのだろうか、とか思ったりしたが、やっぱり日常に戻ればまただらけてしまうな。

 

病院に着いてまず受付に案内され、母親の問診票に記入をお願いされたのだけど、年齢も生年月日も全然知らなくて、えーどうしよーとか思ってたら受付のおばさんに保険証の提示を求められ、そんなんどこにあるのか知らねーよと思いながらも探したら見つかり、ついでに生年月日も分かり、無事問診票もそこそこに書けたので待合室の椅子に座りしばらくただぼんやり待った。

 

まーあの受付のおばさん、態度よくなかった。

別になんか言葉遣いがひどいとかじゃないんだけど、ただただめちゃくちゃ冷たかった。

母親の代わりに来てるわけだから問診票書くのも保険証出すのも当たり前なんだろうけど、ロボットみたいに無感情に言われて少し嫌な気持ちになった。

夜勤も大変なんだろうなと思うことによってそこまで気にはならなかったけれど。

 

それでまあ何もせずずっと椅子に座って待っていたら、しばらくして看護師の女性がやってきた。

母親が服用している薬を知りたいと言うのでバッグを漁って探してみた。

どこにあるのか全然分からなくて、なかなか見つけられずにいると、看護師の女性が「お母さんのカバンの中なんて普段見ないから分からないよね」と言ってくれて、それ!その言葉が欲しかったんだ!って思って本当に嬉しかった。

本当にただそれだけのことなんだけど、こんなど深夜に優しくいられるのってすごいなって思ったし感動した。

受付のおばさんの態度の冷たさもあってより際立ったのだと思う。

そのあとチラッと見た患者に対する看護師としての仕事ぶりもやっぱり素敵だったし、鼻すする音が象のくしゃみみたいだったけど、あの看護師の女性の優しさがあれからずっと俺の心に残っている。

 

そのことを曲にしたいなと思ってて、ま作ってる。

夜に働く人たちへの賛歌みたいなものを。

なんとなくなんだけど、夜眠れない孤独な人々にも通ずるような気がしていて、どうにか曲にしたい。

いい歌詞を書きたい。