実家にいるとベランダに出て外の景色ばかり見てしまう。
ベランダから見える景色は、子供の頃の記憶を鮮明に思い出させてくれる。
あの頃仲の良かった友達や同級生は、みなこの街を出てもうここにはいないんだろうな、なんて思ったりしては悲しい気持ちになる。
僕だけがこの街から離れがたく思っているのだろうか。
思えば小学生の時から失われていく不安があった。
よく遊んでいたおもちゃやぬいぐるみをいつまでも取っておこうとした。
それはまた遊びたいからではなく、なんでか分からないけど捨てたくなかった。
捨てたら寂しくなる気がした。
その頃からすでに過去や懐かしさに対する執着心の萌芽があったということ。
変わっていくことの寂しさを僕らどう処理したらいいのだろうか。